くずし字に少し慣れたら | 古文書サイトです。戊子サイトです。戊子=つちのえねでは古文書の基礎から上達まで、一般的な知識からその特徴やユニークなことまで、さまざまなページを作成しさらに追加しつつあります。このサイトによって古文書が身近になり古文書の楽しさ倍増になりましたら幸いです。2022年初夏からは江戸時代の武蔵野についての武野八景という書誌の解読を進めています。ホームから興味あるページをご覧ください。

古文書『戊子つちのえね
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【戊子版】古文書沼のご参考読本
(丑)そして:くずし字に少し慣れたら

※ご参考読本(丑)【くずし字に少し慣れたら】
この読本は拙子のわずかな経験の書き連ねです。一知半解で不足が多々ありますことをご容赦ください。

◯古文書が随分読めるようになるまでの、まだまだ読めないくずし字はあるけど少し慣れてきたという段階の、拙子の勝手な解釈です。
・くずし字の解読力向上をひたすら目指すのはもちろんですが、それとともにご自身の身近な古文書や興味あるテーマの文書を探して読むことも解読力向上に役立つと思います。

・一例ですが次のような文書類が挙げられます。なお、これらの文書に限らず古文書には著作権など様々な権利が存在していることがありますので、その利用には留意が必要です。また古文書に書かれている個人名やその発言と行動の内容は個人情報に該当する部分があります。特に小さな村の出来事などはその地域に語り継がれていることも多いので、たとえ個人的利用の範囲であっても実名の取り扱いについては注意を要します。
・居住地や故郷などゆかりの地の古文書
・先祖の手紙など
・父や祖父の従軍記録「軍歴証明書」
・家族の戸籍謄本
・興味のある歴史上の出来事や人物など

・このような古文書に接することは、さまざまな字体のくずし字、旧字、異体字などに目が慣れるようになり解読力向上にもつながります。身近な資料の解読は古文書講座の資料よりもきっと何倍も集中力が生まれ熱意も続くでしょう。上述の例示文書について少しコメントします。

居住地や故郷などゆかりの地の古文書
◯居住地近くの図書館や博物館には地域に関する多くの古文書があります。それらを目録にしたものもあると思います。
・訪問したりWebで色々な古文書にアクセスするのはもちろん、県庁所在地の図書館まで出向かなくとも、近所の町の図書館で中央の図書館の文書や書物を取り寄せし借用することが容易になっています。博物館も近所の郷土資料館などを先ず覗いてみたらいいと思います。

・江戸時代の村方文書の具体例としては、「村明細帳」「検地帳」など公的文書があります。村明細帳は全国各地で作成されていたもので、村人の戸数や人数、主な河川や寺社などが書かれています。これは活字化され製本になっているかも知れませんが当時の村の状況がよくわかります。検地帳はくずし字の書物として閲覧することが出来るでしょう。これらを図書館で借用するなどして可能ならば数年分を比較するとさらに様々なことが読み取れます。

・農村でも江戸中期から後期になると村内の組織化が進み、組織運営の必要性などからさまざまな文書が作られその量も増えていったようです。したがって、市史や町史、村史にはその地域に関するもっとも身近な古文書が掲載されていいます。多くの場合その解読文や説明文も併せて掲載されていると思います。

・故郷の知らなかった歴史に思いを馳せながらくずし字解読の腕試しをすることも出来ます。町史や村史は各家庭に配布されていることも多くともすれば埃を被ったままになりがちですが、実に多くの情報が得られるものなので熟読をお勧めします。

ご先祖やご自身にかかわるもの
◯祖父母など先祖の手紙が遺されていればそれは得難い古文書です。
・単なる古文書を超えた貴重なご自身に関する歴史的史料になります。現在手許になくても仏壇やどこかに保管されていないか一度探してみる価値はあると思います。

・幸運にも遺されていた場合は、これはもう必死になって解読し関連事項もしっかり確認すること請け合いです。

〇父や祖父の従軍記録「軍歴証明書」は少し変わった部類の古文書とも思います。
・拙子は何件か解読しました。毛筆ではありませんが異体字や旧字が使われていますので読解しつつ身近な歴史の再発見になるかも知れません。

・太平洋戦争などに従軍されていた場合の「軍歴証明書」ですが、所管庁は厚生労働省か居住地の県庁で、申請書を提出して交付を受けます。

・戦時中のさまざまな出来事が顕れますので少なからず驚くこともありますが、個人的事情の箇所を除けば厳然たる日本の歴史そのものですから知っておくべきとも言えます。個人情報の扱いは十分な留意を必要とします。

〇ご自身にかかわる戸籍謄本や土地の謄本なども身近な歴史の貴重な史料です。
・昔の戸籍謄本は筆書きで走り書きされたり旧字や異体字とともに古い地名なども書かれています。一般的な古文書解読の解読と変わるところがありません。ただ現在は戸籍簿のコンピューター化により昔のスタイルの謄本は簡単に入手できなくなりました。

・昔の謄本がご家庭のどこかに保存されていれば幸運です。青焼きコピーが不鮮明で読み難くてもきっと解読には必死になるのではないでしょうか。なお個人情報そのものでセンシィティブ情報が多いのでより慎重な扱いが求められます。

・拙子の例では、曾祖父の名前「菊三郎」が「兼三郎」となっていてその後訂正されていました。そうか「菊」と「兼」はくずし字が似ているので誤読だな、と小さな謎解きと古文書学習の小さな成果を感じました。

興味のある歴史上の出来事や人物など
◯古文書の学習テーマをこの観点で具体的に絞ることは少し難しいかもしれません。
・古文書の収集や閲覧は意外と時間や労力がかかるもので、いろいろな工夫や経験が必要になることは事実です。困難を伴うことですが、ご自身の感覚で歴史を広く見渡して何らかのテーマに関連する古文書を学習することは大変意味あることに違いありません。

・この視点の書籍も色々あり図書館や博物館からは多くのものが見つかると思いますが、拙子から特段のご紹介はありませんが、初歩的段階のものとして拙子が読んだものであれば次の3点があります。
①「古文書の語る日本史」編者数名、筑摩書房
日本史の古代(飛鳥~)から中世(鎌倉~)近世(~江戸後期)まで七巻あり、古文書とその解読文が挿入され当時の環境や生活などの解説があります。
②「戦国武将の手紙を読む」大和田哲男著、中公新書
主要な武将の自筆書状とその解読文とともに、書状の背景などが説明されています。
③「真田信繁の書状を読む」丸島和宏洋著、星海社新書
真田信繁(幸村)の書状すべて17点について解読文とともに、信繁の心情や足跡が説明されています。

古文書原本の閲覧
◯古文書の原本を直接閲覧することはこの項では触れていません。
・古文書原本の閲覧に際しては様々な注意事項と事前知識が必要になります。拙子もまだそれはもう少し先としていますが、その際には次のような点について理解・習得する必要があると思います。
・史料を取り扱う際の注意事項:史料を汚さない傷つけない為の服装や史料への触れ方
・史料閲覧時の持参品:ルーペ、文鎮、年表、筆記用具、等々
・史料関連事項:印章の形式、史料の料紙種類、古文書の形状種類、帳簿の形態種類

などですが、全体はまだ承知しておりません。

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  • 善哉よきかな (2)
(子)はじめに:古文書とは・・ (丑)そして:くずし字に少し慣れたら (寅)どう読む?:返読、再読、置き字、返り点 (卯)そうなの!:闕字、句読点、後付、大字 (辰)さもあらん:旧字、俗字、略字、異体字、合字、畳字、割書 (巳)これもまた:変体仮名、同音異字、追書、干支 (午)ふむ・ふむ:翻刻文、書き下し文、読み下し文、解説文 (未)うろたえる:我が身とも格闘 ・・・・: 2022.3.27アップ(亥)あれこれと:雑感です
(甲)甲と甲:甲州法度之次第、甲州道中 (乙)おっとっと:異なる意味も
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