武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P2 | 古文書サイトです。戊子サイトです。戊子=つちのえねでは古文書の基礎から上達まで、一般的な知識からその特徴やユニークなことまで、さまざまなページを作成しさらに追加しつつあります。このサイトによって古文書が身近になり古文書の楽しさ倍増になりましたら幸いです。2022年初夏からは江戸時代の武蔵野についての武野八景という書誌の解読を進めています。ホームから興味あるページをご覧ください。

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「武野八景」訳文
武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P2

【武野八景の四・函碕舊池-P2】の翻刻・訳文・注釈

南自驛續青梅大 ⇒前ページ「函碕舊池-P1」からの繰り越し

南は驛より青梅に續く大道にして、人馬の聲林を隔てヽ響き、最も幽閑の地なり、中央みなみはえきよりおうめにつづくおおみちにして、じんばのこえはやしをへだててひびき、もっともゆうかんのちなり、ちゅうおう
纔に方四五十歩の淺水を餘し、わずかにほうしごじゅっぽのせんすいをあまし、
・驛=駅⇒宿駅(宿場)⇒箱根ヶ崎宿
・續=続
・大道⇒青梅街道を指す。
・聲=声
・幽閑:(ゆうかん)奥深くて静かなこと、静かで落ち着いていること
・纔:(さん、せん)わずか、少し
・方⇒四角のものの一辺の長さ
・淺水:(せんすい)水面から底までがわずかな深さの水
・餘=余

洲中古木の下に、天女の祠存せり、此れ昔時の島跡か否るか、得て審にす可ずや、初めすなかのこぼくのしたに、てんにょのほこらぞんぜり、これせきじのしまあとかしからざるか、えてつまびらかにすべからずや、はじめ
水の未た涸れざる、みずのいまだかれざる、
・洲中⇒中州(川の中で土砂の表れたところ)と同義と解す。
・昔時:(せきじ)むかし、いにしえ、往時

萬頃漭沆として、淺深を測らず、淫雨にも增さず、旱魃にも減らず、傳へ言ふ神龍潛蔵ばんけいぼうこうとして、せんしんをはからず、いんうにもまざず、かんばつにもへらず、つたえいうしんりゅうせんぞう
して之か主たりと、してこれがあるじたりと
・萬頃:(ばんけい)地面や水面などの非常に広いこと
・漭沆:(ぼうこう)水が果てしなく広がっているさま
・淫雨:(いんう)いつまでも降り続く続く雨、長雨
・增=増
・傳=伝
・潛蔵:(せんぞう)ひそみ隠れる、潜伏

里人悚懼して、敢て貫瀆せず、夏月白丁數輩、岸に就て納涼す、相ひ謂て曰、誰そやさとびとしょうくして、あえてかんとくせず、かげつはくていすはい、きしについてのうりょうす、あいいいていわく、だれぞや
游て島に至る者の有んか、あそびてしまにいたるもののあらんか、
・悚懼:(しょうく)おそれおののくこと
・貫瀆:(かんとく)なれ侮ってけがす
・夏月:(かげつ)夏。夏の季節
・白丁:(はくてい)庶民。無位無官の民
・數輩:(すはい)かなり多い人数を漠然という
・游:(ゆう)泳ぐ、遊ぶ

次郎兵衛という者聲に應して曰、我れ能せんと、遂に衣を脱て投す、岸上駆て目を囑す、じろべえというものこえにおうじていわく、われよくせんと、ついにいをぬぎてとうず、きしうえかけてめをしょくす、
・應=応
・囑:(しょく)見る、注意して見る、見続ける

須臾にして島に登り、岸に向て立て呼つて曰、果して我か勇を知るかと、既にして反りしゅゆしにしてしまにのぼり、きしにむかいてたちてよばっていわく、はたしてわがゆうをしるかと、すでにしてかえり
游く、小蛇來り觸れて其の腰を巻く、およぐ、しょうじゃきたりふれてそのこしをまく、
・須臾:(しゅゆ)しばらく、少しの間、暫時
・來=来
・觸=触

初極て短小にして一周に足ず、忽ち二周して絞こと稍〳〵緊し、はじめきわめてたんしょうにしていっしゅうにたらず、たちまちにしゅうしてしめることしょうしょうきびし、
・稍稍:(しょうしょう)ようやく、しだいに、だんだん
・緊:(きん)きびしい、ゆるみがない

次郎兵衛覺非常 ⇒この部分は次ページ「函碕舊池-P3」へ繰り越す。

【武野八景の四・函碕舊池はこざききゅうち-P2】ここまで

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初めに・・・武蔵野の素晴らしさ!その読み解きのスタートです。 表紙と見開き・・・肉太の書跡にデザイン性を感じます。 序文1-P1・・・關脩齢による序-P1 序文1-P2・・・關脩齢による序-P2 序文1-P3・・・關脩齢による序-P3 序文2-P1・・・作者「峡南山人」による序-P1 序文2-P2・・・作者「峡南山人」による序-P2 序文2-P3・・・作者「峡南山人」による序-P3 序文2-P4・・・作者「峡南山人」による序-P4 序文2-P5・・・作者「峡南山人」による序-P5 序文2-P6・・・作者「峡南山人」による序-P6 序文2-P7・・・作者「峡南山人」による序-P7 凡例・・・本文著述に先立つ4箇条の説明 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P1(場所は府中市) 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P2 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P3 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P4 武野八景の二・・・立野月出たてのつきいず-P1(場所は国分寺市) 武野八景の二・・・立野月出たてのつきいず-P2 武野八景の三・・・玉川觀魚たまがわかんぎょ-P1(場所は立川市、日野市) 武野八景の三・・・玉川觀魚たまがわかんぎょ-P2 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P1(場所は西多摩郡) 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P2 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P3 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P1(場所は所沢市) 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P2 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P3 武野八景の六・・・宅部寒鴈やけべかんがん-P1(場所は東大和市、東村山市) 武野八景の七・・・将塚暮靄しょうちょうぼあい-P1(場所は東村山市、所沢市) 武野八景の七・・・将塚暮靄しょうちょうぼあい-P2 武野八景の八・・・金橋櫻花きんきょうおうか-P1(場所は小金井市、小平市) 武野八景‐各地の挿絵・・・一枚のスケッチが多くのことを伝えています。
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