【武野八景・序文2-P4、翻刻・訳文・注釈】
相促して以て出つ、親舊聞て歡迎し、與に偕に周旋す、我か見ずしより数十年、
・而⇒置き字は表記せず
・親舊=親旧:(しんきゅう)親類と昔馴染み、昔馴染みと親しむこと
・與=与:(よ)ともに⇒大久保峡南と子享の二人の意
・偕:(かい)みな⇒親舊の人達の意(偕も与も字義は「ともに」だが、文意から偕を「みな」と解した)
・周旋:(しゅうせん)あちこちを巡り歩くこと、世話をすること、面倒をみること、奔走して処理すること
・不⇒助動詞は平仮名で表記
・自り⇒助詞は平仮名で表記
鶏狗の音は、往々に相聞へ、復た漭瀁舊時の野ならず、今の變する所を指して、
・鶏狗:(けいく)にわとりと犬
・之(二箇所)⇒助詞は平仮名で表記
・往々:(おうおう)あちこち、ところどころ
・漭瀁:(もうよう)広大なさま(「漭」も「瀁」も広いさま、はるかなさまの意)
・舊時=旧時:(きゅうじ)過ぎ去った昔、以前
・不⇒助動詞は平仮名で表記
・變=変
昔の記する所を語るに、親舊或は知るに及はず、嘆して相謂て曰、
・親舊=親旧:(しんきゅう)親類と昔馴染み、昔馴染みと親しむこと
・不⇒助動詞は平仮名で表記
今にして数十年前を知ざること此の若し、數十年後今を知ざること亦た此の若ならは、
・而⇒置き字は表記せず
・不(二箇所)⇒助動詞は平仮名で表記
・也(二箇所)⇒置き字は表記せず
則此の野の勝、名實竟に亡せんこと、昇平の化、必然の勢ひなり、今猶を存するに及て、
・之(三箇所)⇒原文の「之」は助詞で平仮名にして表記
・實=実
・竟:(けい、きょう)ついに、とうとう、あろうことか
・ヿ⇒翻刻文の「ヿ」は「コト」の変体片仮名
・昇平:(しょうへい)世が平和なこと、太平
・昇平之化⇒「しょうへいのかわり」と読んだがあるいは「しょうへいのか」カ
※「昇平之化」の慣用句的な用法を目にするが訳や含意は不明
・也⇒置き字は表記せず
※なお、原文「勢ヒ也」と也を送って文末の也を置き字にしているその狙いは不明
不朽の謀を為す、吾子を舎てヽ其れ誰そや、吾子豈自任とせざるべけんや、
・之⇒助詞は平仮名で表記
・舎:(しゃ)すてる
・也⇒置き字は表記せず
・可⇒助動詞は平仮名で表記
・不⇒助動詞は平仮名で表記
・哉⇒置き字は表記せず
於是 ⇒この部分は次ページ「序文2-P5」へ繰り越す
【武野八景・序文2-P4、ここまで】