序文2-P5・・・作者「峡南山人」による序-P5 | 古文書サイトです。戊子サイトです。戊子=つちのえねでは古文書の基礎から上達まで、一般的な知識からその特徴やユニークなことまで、さまざまなページを作成しさらに追加しつつあります。このサイトによって古文書が身近になり古文書の楽しさ倍増になりましたら幸いです。2022年初夏からは江戸時代の武蔵野についての武野八景という書誌の解読を進めています。ホームから興味あるページをご覧ください。

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「武野八景」訳文
序文2-P5・・・作者「峡南山人」による序-P5

【武野八景・序文2-P5、翻刻・訳文・注釈】


於是 ⇐前ページの文節残り部分

是に於てか其の勝を分、孫一か之剏所に遵て、以て八景と為、子享と議して之が名を定む、ここにおいてかそのしょうをわけ、まごいちがこれはじめるところにしたがいて、もってはっけいとなす、しきょうとぎのこれがなをさだむ、
・乎⇒助詞は平仮名で表記
・剏:(しょう、そう)はじめる、きずつける⇒創の古字
・遵:(じゅん)したがう、ひきいる
・與=与⇒助詞は平仮名で表記

子享其の景を圖し、還て之を佳手に託ス、余題辞を作りて、分ス事實を昈、しきょうそのけいをずし、かえりてこれをかしゅにたくす、よだいじをつくりて、わかつじじつをあきらか、
・圖=図
・佳手⇒「かしゅ」と読んだ。「佳名(かめい)」「佳士(かし)」など類例あり
・實=実
・昈:(こ)彩り豊かで美しいさま、はっきりしている、明らか

且つ識る所の諸名家に就て、詩文書画を徼とめ、附して以て編を為す、之を世に公にかつしるところのしょめいかについて、しぶんしょがをもとめ、ふしてもってへんをなす、これをよにおおやけに
せんと欲す、せんとほっす、
・徼:(きょう)もとめる、うかがう、めぐる

郷人杉子宗、宮忠卿、相搤腕して之を趣かし、即ち梓人に授く、或は曰、きょうじんすぎしそう、みやちゅうきょう、あいやくわんしてこれをおもむかし、すなわちしじんにさずく、あるいはいわく、
・郷人:(きょうじん)さとびと、故郷の人、俗人、いなかもの
・杉子宗⇒人名(詳細不明)、「すぎしそう」と読んだ
・宮忠卿⇒人名(詳細不明)、「みやちゅうきょう」と読んだ
・搤腕:(やくわん)腕をさすって意気込むこと
・趣:(しゅ、おもむき)急いで行く、さっさと行く、向かって行く
・梓人:(しじん)大工の棟梁、工匠

武野に逃水堀兼井有、勝の雄なる者なり、子八景を作、之を遺こすは何そや、答て曰、ぶやににげみずほりかねのいあり、しょうのゆうなるものなり、しはっけいをつくり、これをのこすはなんぞや、こたえていわく、
・逃水の語意⇒蜃気楼(しんきろう)の一種、強い日射しのとき水があるように見えて近づくと逃げてしまう現象
・逃水の地名⇒埼玉県狭山市大字水野字逃水
・堀兼井の地名⇒埼玉県狭山市大字堀兼の堀兼神社境内
・之⇒助詞は平仮名で表記
・者也⇒ここの「也」助動詞で平仮名で表記
・子⇒石子享を指す
・何也⇒ここの「也」は置き字

余か擇ふ所の八景、多摩郡数里の間を出てず、而して堀兼井はよがえらぶところのはっけい、たまぐんすうりのあいだをいでず、しこうしてほりかねいは、
・擇=択
・之⇒助詞は平仮名表記
・不⇒助動詞は平仮名表記
・堀兼井⇒前述

 ⇒この部分は次ページ「序文2-P6」へ繰り越す

【武野八景・序文2-P5、ここまで】

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  • 善哉よきかな (10)
初めに・・・武蔵野の素晴らしさ!その読み解きのスタートです。 表紙と見開き・・・肉太の書跡にデザイン性を感じます。 序文1-P1・・・關脩齢による序-P1 序文1-P2・・・關脩齢による序-P2 序文1-P3・・・關脩齢による序-P3 序文2-P1・・・作者「峡南山人」による序-P1 序文2-P2・・・作者「峡南山人」による序-P2 序文2-P3・・・作者「峡南山人」による序-P3 序文2-P4・・・作者「峡南山人」による序-P4 序文2-P5・・・作者「峡南山人」による序-P5 序文2-P6・・・作者「峡南山人」による序-P6 序文2-P7・・・作者「峡南山人」による序-P7 凡例・・・本文著述に先立つ4箇条の説明 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P1(場所は府中市) 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P2 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P3 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P4 武野八景の二・・・立野月出たてのつきいず-P1(場所は国分寺市) 武野八景の二・・・立野月出たてのつきいず-P2 武野八景の三・・・玉川觀魚たまがわかんぎょ-P1(場所は立川市、日野市) 武野八景の三・・・玉川觀魚たまがわかんぎょ-P2 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P1(場所は西多摩郡) 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P2 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P3 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P1(場所は所沢市) 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P2 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P3 武野八景の六・・・宅部寒鴈やけべかんがん-P1(場所は東大和市、東村山市) 武野八景の七・・・将塚暮靄しょうちょうぼあい-P1(場所は東村山市、所沢市) 武野八景の七・・・将塚暮靄しょうちょうぼあい-P2 武野八景の八・・・金橋櫻花きんきょうおうか-P1(場所は小金井市、小平市) 武野八景‐各地の挿絵・・・一枚のスケッチが多くのことを伝えています。
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