序文2-P4・・・作者「峡南山人」による序-P4 | 古文書サイトです。戊子サイトです。戊子=つちのえねでは古文書の基礎から上達まで、一般的な知識からその特徴やユニークなことまで、さまざまなページを作成しさらに追加しつつあります。このサイトによって古文書が身近になり古文書の楽しさ倍増になりましたら幸いです。2022年初夏からは江戸時代の武蔵野についての武野八景という書誌の解読を進めています。ホームから興味あるページをご覧ください。

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「武野八景」訳文
序文2-P4・・・作者「峡南山人」による序-P4

【武野八景・序文2-P4、翻刻・訳文・注釈】


相促して以て出つ、親舊聞て歡迎し、與に偕に周旋す、我か見ずしより数十年、あいうながしてもっていづ、しんきゅうききてかんげいし、ともにみなにしゅうせんす、われがみずしよりすうじゅうねん、
・而⇒置き字は表記せず
・親舊=親旧:(しんきゅう)親類と昔馴染み、昔馴染みと親しむこと
・與=与:(よ)ともに⇒大久保峡南と子享の二人の意
・偕:(かい)みな⇒親舊の人達の意(偕も与も字義は「ともに」だが、文意から偕を「みな」と解した)
・周旋:(しゅうせん)あちこちを巡り歩くこと、世話をすること、面倒をみること、奔走して処理すること
・不⇒助動詞は平仮名で表記
・自り⇒助詞は平仮名で表記

鶏狗の音は、往々に相聞へ、復た漭瀁舊時の野ならず、今の變する所を指して、けいくのねは、おうおうにあいきこえ、またもうようきゅうじののならず、いまのへんするところをさして、
・鶏狗:(けいく)にわとりと犬
・之(二箇所)⇒助詞は平仮名で表記
・往々:(おうおう)あちこち、ところどころ
・漭瀁:(もうよう)広大なさま(「漭」も「瀁」も広いさま、はるかなさまの意)
・舊時=旧時:(きゅうじ)過ぎ去った昔、以前
・不⇒助動詞は平仮名で表記
・變=変

昔の記する所を語るに、親舊或は知るに及はず、嘆して相謂て曰、むかしのきするところをかたるに、しんきゅうあるいはしるにおよばず、たんしてあいいいていわく、
・親舊=親旧:(しんきゅう)親類と昔馴染み、昔馴染みと親しむこと
・不⇒助動詞は平仮名で表記

今にして数十年前を知ざること此の若し、數十年後今を知ざること亦た此の若ならは、いまにしてすうじゅうねんまえをしらざることかくのごとし、すうじゅうねんごいまをしらざることまたかくのごごとくならば、
・而⇒置き字は表記せず
・不(二箇所)⇒助動詞は平仮名で表記
・也(二箇所)⇒置き字は表記せず

則此の野の勝、名實竟に亡せんこと、昇平の化、必然の勢ひなり、今猶を存するに及て、すなはちこのののしょう、めいじつついにほろぼせんこと、しょうへいのかわり、ひつぜんのいきおいなり、いまなおぞんするにおよびて、
・之(三箇所)⇒原文の「之」は助詞で平仮名にして表記
・實=実
・竟:(けい、きょう)ついに、とうとう、あろうことか
・ヿ⇒翻刻文の「ヿ」は「コト」の変体片仮名
・昇平:(しょうへい)世が平和なこと、太平
・昇平之化⇒「しょうへいのかわり」と読んだがあるいは「しょうへいのか」カ
※「昇平之化」の慣用句的な用法を目にするが訳や含意は不明
・也⇒置き字は表記せず
※なお、原文「勢ヒ也」と也を送って文末の也を置き字にしているその狙いは不明

不朽の謀を為す、吾子を舎てヽ其れ誰そや、吾子豈自任とせざるべけんや、ふきゅうのはかりごとをなす、われこをすててそれだれぞや、わがこあにみずからまかせとせざるべけんや、
・之⇒助詞は平仮名で表記
・舎:(しゃ)すてる
・也⇒置き字は表記せず
・可⇒助動詞は平仮名で表記
・不⇒助動詞は平仮名で表記
・哉⇒置き字は表記せず

於是 ⇒この部分は次ページ「序文2-P5」へ繰り越す

【武野八景・序文2-P4、ここまで】

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  • 善哉よきかな (10)
初めに・・・武蔵野の素晴らしさ!その読み解きのスタートです。 表紙と見開き・・・肉太の書跡にデザイン性を感じます。 序文1-P1・・・關脩齢による序-P1 序文1-P2・・・關脩齢による序-P2 序文1-P3・・・關脩齢による序-P3 序文2-P1・・・作者「峡南山人」による序-P1 序文2-P2・・・作者「峡南山人」による序-P2 序文2-P3・・・作者「峡南山人」による序-P3 序文2-P4・・・作者「峡南山人」による序-P4 序文2-P5・・・作者「峡南山人」による序-P5 序文2-P6・・・作者「峡南山人」による序-P6 序文2-P7・・・作者「峡南山人」による序-P7 凡例・・・本文著述に先立つ4箇条の説明 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P1(場所は府中市) 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P2 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P3 武野八景の一・・・六所挿秧ろくしょそうおう-P4 武野八景の二・・・立野月出たてのつきいず-P1(場所は国分寺市) 武野八景の二・・・立野月出たてのつきいず-P2 武野八景の三・・・玉川觀魚たまがわかんぎょ-P1(場所は立川市、日野市) 武野八景の三・・・玉川觀魚たまがわかんぎょ-P2 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P1(場所は西多摩郡) 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P2 武野八景の四・・・函碕舊池はこざききゅうち-P3 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P1(場所は所沢市) 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P2 武野八景の五・・・吾庵疉翠ごあんじょうすい-P3 武野八景の六・・・宅部寒鴈やけべかんがん-P1(場所は東大和市、東村山市) 武野八景の七・・・将塚暮靄しょうちょうぼあい-P1(場所は東村山市、所沢市) 武野八景の七・・・将塚暮靄しょうちょうぼあい-P2 武野八景の八・・・金橋櫻花きんきょうおうか-P1(場所は小金井市、小平市) 武野八景‐各地の挿絵・・・一枚のスケッチが多くのことを伝えています。
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